1. 政策企画局トップ
  2. 都庁横断の取組
  3. 「東京一極集中論」への見解

「東京一極集中論」への見解

更新日

「人口は東京だけに集中(一極集中)している」「出生率の低い東京に人が集まることで国全体の人口減少につながる」といった、いわゆる「東京一極集中論」について、その実態をファクトに基づき説明いたします。

「東京一極集中論」に係るQ&A


▽「東京一極集中論」についてもっと知りたい方のためのQ&Aはこちら


  1. 人口は東京だけに集中(一極集中)しているのではないか?
    人口は、東京だけではなく、札幌市、仙台市、大阪市、福岡市などの「大都市」に集積しているというのが実態です。

    (資料)総務省「住民基本台帳移動報告(2024年)日本人人口」を基に作成

    各地方における人口移動の状況を見ると、東北では仙台、九州では福岡など、各圏域内における「大都市」に集中し、その一部が東京へ流入しています。
    東京への転入の状況を見ると、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県など、「大都市」を擁する府県からの流入が全体の約45%を占めています。
  2. 東京の少子化が日本の人口減少の要因ではないのか?
    婚姻数や有配偶出生率といった指標を見ると、むしろ東京は全国平均を引き上げています
    まず、日本では婚外子比率が2%台と非常に低く、結婚が出生に大きく影響することから、婚姻率が出生数の先行指標として重要です。

    (資料)厚生労働省「人口動態調査」を基に作成

    2024年の婚姻率(住民千人あたりの年間婚姻件数)は、全国が4.0‰に対して、東京は5.7‰で全国1位となっています。都を除く46道府県は3.8‰であり、都が全国平均を引き上げています。また、婚姻数はコロナ禍以降、全国で落ち込んでいる一方、東京では増加傾向となっています。

    (資料)総務省「国勢調査」及び厚生労働省「人口動態調査」(2020年)を基に作成
    (資料)厚生労働省「人口動態調査」及び東京都「人口動態統計」を基に作成 

    次に、2020年の有配偶出生率(結婚している15~49歳の女性千人当たりの出生数)は、全国が72.9‰に対して、東京は74.9‰と全国平均よりも高く、都を除く46道府県は72.6‰であり、都が全国平均を引き上げています。また、出生数は過去30年間で全国では4割以上落ち込んでいる一方、東京の減少は2割以下に抑えられています。
  3. 東京の「合計特殊出生率」が全国で最も低いことは問題ではないか?
    2024年の東京都の「合計特殊出生率」は0.96となっていますが、この数値は未婚女性を含む15~49歳の女性を対象として算出されることから、就職などで未婚女性が多く流入する都市部においては、低く算出される傾向にあります。
    このことから、「合計特殊出生率」は、国内地域間での比較には適していないとされ、それのみをもって問題とするのは適切ではありません。「婚姻率」や「有配偶出生率」など、地域の特性を踏まえて様々な指標を多面的に見ていくことが必要です。

    例えば、女性の人口構成比が同じ(合計1,000人)自治体A(地方型)と自治体B(都市型)において、それぞれの出生数が同じ(合計30人)であっても、出産年齢のピークが異なることで、地方型の自治体Aの「合計特殊出生率」の方が、高い数値になります。

    また、自治体A’(地方型)、B’(都市型)において、それぞれの出生数が同じ(合計30人)であっても、女性人口が移動することで、未婚女性が多く流出する地方型の自治体A’の「合計特殊出生率」は高い数値に、未婚女性が多く流入する都市型の自治体B’の「合計特殊出生率」は低い数値になります。

  4. 東京は子育てに向いていないのでは?
    都はこれまで、結婚から出産、子育てにいたるまでライフステージを通じた切れ目ない支援(※)を展開してきており、保護者の約9割が「東京は子育てによい場所」、子供の9割以上が「遊べる場所や気持ちよく過ごせる場所がたくさんある」と回答するなど、大人も子供も住みやすい街として評価しています

    (資料)東京都「とうきょう こども アンケート(令和6年調査)」を基に作成

    ※東京都が実施している支援策についてはこちら
    チルドレンファースト社会の実現に向けて

    東京都では、育児休業の愛称を公募によって「育業」と決定し、育児を「休み」ではなく「未来を育む大切なしごと」と捉え、「育業」を社会全体で応援する気運の醸成に取り組んでいます。

    (資料)東京都「令和6年度東京都男女雇用平等参画状況調査結果報告書」を基に作成
    (資料)東京都「職就を予定する大学生等の「育業」に関する意識調査」を基に作成

    都内男性の育業取得率は54.8%と10年前の10倍以上に上昇し、いまや2人に1人が育業しています。
    東京都の調査では、就活生の8割以上が企業選択において育業を重視していると回答しています。

これ知ってる?人口減少問題に関する「ホント」のこと(60秒動画)

これ知ってる?人口減少問題に関する「ホント」のこと(30秒動画)

これ知ってる?人口減少問題に関する「ホント」のこと(15秒動画)

「東京一極集中論」についてもっと知りたい方のためのQ&A

  1. 「東京一極集中」が地方の衰退を招いているのではないか?
    人口が集積する「大都市」は、その集積のメリットを生かして、地域経済も牽引しています

    (資料)内閣府「県民経済計算(平成23年度 - 令和3年度)」を基に作成

    東京では、全国の約1割の人口で、約2割のGDPを生み出しています。
    ほかの「大都市」でも同様、人口の集積以上の経済効果を生み出し、地域経済を牽引しています。
    こうした中、東京都は首都としてのポテンシャルを生かし全国各地と世界をつなげる結節点となり、日本経済を牽引するほか、都が持つ技術やノウハウを生かし自治体と連携して、共通の地域課題の解決に取り組んでいます。


    東京と全国各地との「共存共栄」を目指し、東京都は他の地域の発展に資する取組を、より幅広い分野で一層進めていきます。
    東京と全国各地との共存共栄~真の地方創生~
  2. 「東京一極集中」が国全体の人口減少の要因ではないか?
    地域における人口増減は、地域をまたいだ人の動きである「社会増減」と、出生数、死亡数の差引である「自然増減」とに分けることができます。
    (資料)総務省「人口推計(2024年10月1日推計)」を基に作成 社会増減には外国人、国内外の入出国を含む。

    国全体の「社会増減」は24都道府県で増加する一方、「自然増減」は47全ての都道府県で減少し、その規模も合計で90万人の減少となるなど、はるかに影響が大きいです。
    このことから、人口減少問題を考える際には、「社会増減」よりも全国的な課題である「自然増減」にいかに対応するかが重要です
  3. 若年女性が「東京一極集中」しているのではないか?
    東京都への20代の転入超過数を見ると、男女比は男性、女性ともに約50%と均衡しており、ほぼ差はありません


    一方、各地域から大都市への20代の転入超過数を見ると、札幌11.6ポイント差、仙台19.0ポイント差、福岡18.0ポイント差で女性の方が多いなど、各地方の大都市においては、女性の転入が多い傾向にあります。
    (資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」を基に作成  ※数値は2024年の日本人移動者
  4. 大学が東京に集積していることで、若者が「東京一極集中」しているのではないか?
    都内の大学への進学者の7割以上は東京圏からの進学であり、東京圏以外からの進学者はむしろ減少傾向にあります

    (資料)文部科学省「学校基本調査」を基に作成

    一方、道府県別で見ると、学生は東京だけに集まっているのではなく、大阪や京都、福岡などそれぞれの地域で大学が多く立地している都市に集まっています。特に西日本では、東京よりも近畿圏やそれぞれの地域内への進学が多いのが特徴です

    (資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」を基に作成  ※数値は2024年の日本人移動者

(参考)これまでの議論

これ知ってる?人口減少問題に関する「ホント」のこと(東京動画)

「東京に人口が集まるせいで日本の人口が減る」と言われることがありますが、そんなことはありません!
人口減少問題に関する「ホント」のことを皆さんにお伝えします。

東京の人口が増えているのは全国から人が集まっているからってホント?

出会いが多い東京は結婚もしやすく、婚姻率は全国一位。
夫婦が持つ子供の数は全国平均以上です。

人口減少問題の解決には、各地域が創意工夫し、互いに協力しながら魅力を高め合い、地域経済の成長、日本全体の持続的な発展につなげることが重要です。
東京都は、都内の支援拠点を活用して各地域のイノベーションを後押しするなど、“真の地方創生”を目指した「共存共栄」の取組を進めています。

人口減少問題の解決には、各地域が創意工夫し、互いに協力しながら魅力を高め合い、地域経済の成長、日本全体の持続的な発展につなげることが重要です。
東京都は、都内の支援拠点を活用して各地域のイノベーションを後押しするなど、“真の地方創生”を目指した「共存共栄」の取組を進めています。

記事ID:001-001-20240910-011545